薬事法で鍛えられる
表現の幅と奥行き

カルデラの仕事

化粧品・健康食品の仕事は大変だからこそ、面白い。

あれもだめ、これもだめ、そんな表現許されない…すべてが薬事法という名の法的規制から。しかも売れないとその表現は、何と言ったらつたわりやすいのか…ごみ(?)みたいなもの(?)…あってもなくてもいいのではなくて、そんなもんみせてくれるな、という感じ…パワハラ・モラハラなど何もない時代は、提出した原稿がくしゃくしゃになって戻って来ることもあった。

こんな経験は、アナログ時代のライターは少なからずあったかも、です。

それが鍛えられたといえるのかどうか、いまとなってはわからないですが…。

その時思ったものです。何が絶対的に「正しい表現」で、何が「間違い」なのか。単語で「しわ・シミが改善される」「美白美人になる」などはアウトだが、これをあいまいにすることでokになる。「しわ・シミが」「美白美人に」と動詞をとることで、どうなっていくのか目的がみえないことであいまいだからいい、ということも。

ずっと思ってるが果たしてそうなんだろうか、と。

薬事チェックをしてくれる専門の会社もある。メーカーの場合、法務を通してそういう会社へ依頼がいく。そして真っ赤になって返ってくる。

さらに薬事法はふと意識するのを忘れている期間が長いと変わっている場合も多い。画像のbefore afterはいつ撮影をしたかをいれたらよかった時代もあったが、いまはそういう表現が許されない。

もはや専門家の領域だ、ワタシ&ワタシタチみたいに、いろんな仕事の中のひとつの場合、久しぶりにやる場合もあって、うろたえることもある。しかし長年やっていると、ことばを選ぶ時の「ここで止まらなければいけない」という幅と奥行きはとことん鍛えられる。

例えば、冬の乾燥するシーズンの保湿クリームに何かコピーをつけるとしたら

「お肌がカサカサ音を立てる季節になりました。うるおいを補って、しっとりお肌に」。

すごい遠回りだけど、薬事法を通り抜けるために必要なんだよね。仕方ないね。決まり事だから。